月と太陽Ⅲ
レオルはガバッと起き上がると、キッと前を見据えた。
「アイナ、どういう事だ」
こちらを睨む兄に、アイナはそれが可笑しいかのようにクスクス笑った。
「そんなに怒らないでよ、お兄ちゃん。これも仕事なんだから」
これが仕事?一体何がしたいの…
エセルはレオルに向けられている視線を遮るかのように遥か上空にいるアイナに大きな声を出した。
「どういう事?なぜ私達を殺す必要があるの?何が目的?」
「質問満載ね。簡単な事だわ。太陽があなた達を消そうとしているからよ」
太陽が?
嘘でしょ…。もうあちらに私達の存在が――!!
これもツェーラ大臣の城内にいるという裏切り者の仕業?
冷や汗がじわじわと染みてくる。