月と太陽Ⅲ
すると、サスティンの身につけているピアスがキラリと光って、手に氷の結晶が浮かんだ。人の頭ぐらいはある。
サスティンはそれを素早くベーチスの右の翼に投げた。
すると投げられた氷の結晶はふわっと浮いて、サスティンの狙い通り、翼に当たった。
ベーチスが甲高い鳴き声を発する。
相当強く当たったようだ。
「くっ」
アイナは苦しみの声を漏らすとベーチスに向かって叫ぶ。
「落ち着きなさい。上に上がるのよ、さあ!」
その言葉が通じたのか今度は急上昇し始めた。
そして空高くまで昇ると落ち着きを取り戻し、大きな翼を羽ばたかせた。
とてつもなく大きな風がエセル達を襲う。