月と太陽Ⅲ
風に耐えられず四人はそれぞれ吹き飛ばされた。
しかし、ここが森でない事は幸いだった。
もしここが森だっとしたら木に叩きつけられていた事だろう。
草原の柔らかな草のお陰で体へのダメージは最小限に抑えられたが、腰を強く打ち付けてしまったエセルに激痛が走る。
それでもまた次の攻撃が来るかもしれない。
エセルは漸う(ようよう)立ち上がると、杖を前に出し、呪文を唱えだした。
「聖なる杖よ、我の願いのままに姿を変えよ。聖なる一矢を我に―――レイドゥーズボウ[巨大な弓]!」