月と太陽Ⅲ



立つのもままならない。


そんな中エセルとサスティンは必死に持ちこたえていた。


矢がヒューという音をたてて、垂直にこちらへ落ちてくる。


ベーチスは羽ばたくのをやめたのだ。


その瞬間、遠くで見ていたレオルとフェリアは息を呑んだ。


なんと先程まで落下していたはずの矢が、また上へ上がってきたのだ。


「なっ…!」


アイナは思わず声を漏らした。


しかし、ベーチスは冷静だった。


そのまま矢を素早く交わす。


が、しかしほっとしたのは一瞬だった。


矢はもうすでにもう一本放たれていたのだ。
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