月と太陽Ⅲ



「―――っ!」


矢はベーチス翼に深く突き刺さった。


ベーチスの悲痛な高い鳴き声が空に響く。


エセルの作戦とは、まずエセルが矢を放ち、ベーチスが追い風で矢を吹き飛ばした隙にサスティンが風を操って、矢を ベーチスに向ける。


しかし、やはり魔法で操る風は弱いため、その間にエセルが矢をもう一発放ったのだ。


裏を読んだエセルの寸法に、サスティンは驚き、尊敬を感じた。


例え、十七歳と言えども史上最年少の衛兵隊長。


確かな実力は十分備わっている。
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