月と太陽Ⅲ
意外にも沈黙を破ったのはレオルだった。
無理をしたような、そんな微笑みだ。
そんな顔を見た三人はかける言葉が見つからず、ただ静かに頷くしかなかった。
「そんなに気を使わなくてもいい。あいつが生きていてくれたのは嬉しかった。しかし、敵になってあいつは私の前に現れた。それなら例え兄弟であっても……」
―――それでいいの?
エセルは言葉をぐっとこらえた。
レオルが言いたくて言った言葉でないのは分かっている。
決死の覚悟で言った事だという事も分かっている。
けれど、こんな事があっていいのだろうか。愛する人を討たなくてはいけない痛み……
――これが戦争か。
エセルは拳を強く握った。歯を食いしばる。