月と太陽Ⅲ



「世話になったな」


レオルはエセル達三人を優しい暖かな目で見つめた。


レオルは会った初めの頃よりも柔らかい目をするようになった気がする。


するといきなりの事だった。


レオルがエセルを抱き寄せた。


「エセル、敵は太陽じゃないんだ。全ては奴。国を怨むな。憎しみから生まれるものは憎悪と死だけだ」


耳元でエセルにだけ素早く聞こえたその言葉はあまりにも突然過ぎて、エセルには詳しく考える事が出来なかった。







「―――すまない」


最後に振り絞るように出された言葉は一瞬、レオルが泣いているのかと思ってしまうほどか細く、小さな声だった。
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