月と太陽Ⅲ



放された後、見たのはいつもの勇ましいレオルの顔だった。


何か言いかけようとするエセルを制すように最後に悲しそうに笑った。そして、レオルは視線を変えると、隣にいるサスティンへと移した。


突然、サスティンの肩に手をおいて、温かい表情を浮かべたまま、レオルは話し出した。


「お前は充分強い。誰かを守ってやれるぐらい」


そしてそのままサスティンの横をゆっくり歩いていく。


すれ違い際にボソッとレオルがサスティンの横で呟いているのが見えた。


その途端、サスティンはすぐレオルの方へ振り返ったが、レオルのその後ろ姿からは何も分からなかった。
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