月と太陽Ⅲ



別れを惜しんでいるのは言うまでもなくエセルだけではなかった。


たった数日でも協力し合った仲間には違いない。


そんな別れを彼らはこれまで幾度となくしてきたはずなのに今だに慣れない。


戦争という過酷な運命を背負わされているが、やはり子供なのだ。いくら優秀で、大人顔負けの実力を持っている彼らだってまだ十六、十七の少女と少年たち。


逆にこの年齢で別れを悲しむ事をやめたくない。


エセルはそう思っていた。
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