月と太陽Ⅲ



街へ近付くにつれてサスティンの表情はどんどん暗くなっていく気がした。


――やはり、久しぶりの故郷を見るのは辛いのだろうか。


ちらっと横目で彼を見るエセル。


普通の人にとっての帰郷はどんなに嬉しくて、懐かしいことだろう。


しかしサスティンの故郷に対する想いは複雑なものだった。


母が死に、姉が姿を消し、父から見捨てられた街。


サスティンにとって故郷の街とは、ただ苦しい思い出を蘇らせるものでしかないのだ。





外壁に門番は付き物だ。


小道を歩きながら見えてくる人影に気付くと、三人は着ていたローブを頭にかけ、顔をなるべく見えなくした。

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