秘密な基地
父の殉職
この日の夜の食卓は、
いつになく
盛り上がっていました。
「父さん、来月の
授業参観来てくれるよね。」
「ああ、必ず行くよ。
将来の夢について、
一人ずつ作文
読み上げるんだろ、
タケシは何になりたいんだ?」
その質問に、
ユウコが口を挟みました。
「それは、授業参観に
来ないと
教えられないわよねー、タケシ。」
「うんっ。」
「はっはっは、
大丈夫、その日は
ちゃんと休み
取ってあるから。」
小学六年のタケシは、
父と母の三人家族です。
母ユウコは
専業主婦でいつも
家にいますが、
父のノブオは消防士なので
勤務時間が不規則です。
だから、こうして
三人揃ってゆっくり
夕飯を囲む事は少なく、
ノブオがいると、
会話がはずみます。
そんな忙しい仕事柄、
今まで、ノブオが
授業参観に来る事は
一度もなかったので、
タケシの残り僅かな
小学校生活を一度は見ておこうと、
今回休みを取ってまで、
足を運ぶ事になったのです。
それが、タケシには
楽しみでならないのです。
父親参観日まで、
あと十日に迫っていました。
この日、この辺り一帯を
強く暖かな乾燥風が
吹きさらしていました。
それはフェーン現象
と言われ、
湿った空気が山を越え、
下降気流になると、
山の風下で
高温の熱風になる現象です。
年に数回程、
その高温の乾燥風が
山を越え、
この町を吹き付けるのです。
その風によって
引き起こされる影響というと、
かなりの高確率で、
町に火災を
引き起こす原因となる事なのです。
いつになく
盛り上がっていました。
「父さん、来月の
授業参観来てくれるよね。」
「ああ、必ず行くよ。
将来の夢について、
一人ずつ作文
読み上げるんだろ、
タケシは何になりたいんだ?」
その質問に、
ユウコが口を挟みました。
「それは、授業参観に
来ないと
教えられないわよねー、タケシ。」
「うんっ。」
「はっはっは、
大丈夫、その日は
ちゃんと休み
取ってあるから。」
小学六年のタケシは、
父と母の三人家族です。
母ユウコは
専業主婦でいつも
家にいますが、
父のノブオは消防士なので
勤務時間が不規則です。
だから、こうして
三人揃ってゆっくり
夕飯を囲む事は少なく、
ノブオがいると、
会話がはずみます。
そんな忙しい仕事柄、
今まで、ノブオが
授業参観に来る事は
一度もなかったので、
タケシの残り僅かな
小学校生活を一度は見ておこうと、
今回休みを取ってまで、
足を運ぶ事になったのです。
それが、タケシには
楽しみでならないのです。
父親参観日まで、
あと十日に迫っていました。
この日、この辺り一帯を
強く暖かな乾燥風が
吹きさらしていました。
それはフェーン現象
と言われ、
湿った空気が山を越え、
下降気流になると、
山の風下で
高温の熱風になる現象です。
年に数回程、
その高温の乾燥風が
山を越え、
この町を吹き付けるのです。
その風によって
引き起こされる影響というと、
かなりの高確率で、
町に火災を
引き起こす原因となる事なのです。