秘密な基地
「何言ってんのよ、
 あれは燃やしていないわよっ、
 ノブオが欲しいっていうから、
 あげたのよっ。」

ゴロウはすかさず、
ノブオの元へ走って来ました。

「ノブオッ、絨毯はっ?」

「ああ、あれ、
 僕の秘密基地の
 敷物に使ってるよ、
 へへ、快適快適。」

陽気に応える
ノブオに対し、
ゴロウの表情は真剣です。

「お前そんな事に
 あの高級絨毯を
 使っちまったのかーっ。」

そこに、
ユウコが口を挟みました。

「私がノブオに
 あげたのよ、あんな
 小汚い絨毯、どうせ、
 物置の隅にずっと
 置いてあるんですもの、
 燃やそうとも考えたけど、
 ノブオに使って
 貰えるだけいいじゃないの?」

そう言いながら、
ユウコはゴロウを睨みました。

「ましてや、
 家に敷くのも、
 みっともないし、
 あんな小汚い絨毯。」

ユウコの押しに、
ゴロウはたじたじです。
タケシは、相変わらず、
かかあ天下の祖母と、
尻に敷かれっぱなしの祖父の姿に、
つい、含み笑いを
浮かべました。

「いや、でもあれは、
 高かったんだぞ、
 インドから伝わる
 魔法の絨毯でな…。」

「ええっ、魔法の絨毯?」

ノブオは叫びました。
タケシも身を乗り出しました。

「インチキよ、インチキ、
 骨董品屋でそう言われて
 騙されたのに
 まだ気づかないのかしら。」

ユウコの冷たい視線が
ゴロウにますます
降り注ぎます。

「あの…、それって、
 どんな魔法なんですか?」

タケシが聞きました。
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