秘密な基地

面影

「さ、おうち
　入って遊んでおいで。」

「タケシ君、行こう。」

再び、タケシの
手を引きました。

「ノブオッ、
　あの絨毯、大事にすんだぞっ。」

ゴロウが叫びました。

「分かってるよっ。」

ノブオは手を挙げました。
家の中に入る際、
ふと、タケシは
火事の事を思い出しました。

「あ、おばさん、
　火の始末は
　しっかりして下さいね。」

カズコはきょとんとして、
タケシを見ていました。

「あの子、火が嫌いなのかしら。」

タカコは、タケシの
忠告を軽く
聞き流していました。
この時、タケシの言った事を
しっかり聞いてくれていれば、
この後起きる惨事を
防げていたのかもしれません…。

　二人は、駄菓子を食べながら、
メンコ、コマ、ボードゲーム等で
遊びました。
デジタル世代の
タケシにとって、
体全体と五感を働かせ、
人と人が対面して遊ぶ事は、
新鮮その物です。
さすが、元は
血の繋がりのある親子だけあって、
気が合います。
時間が経つのを忘れ、
それらレトロゲームに
没頭しました。

「よかったら、
　夕飯食べていきなさい。」

カズコに誘われるがまま、
夕飯をごちそうして
もらう事になりました。

大きなテーブルには、
ノブオに、
両親のゴロウとカズコ、
そして、ノブオの三歳と
一歳の二人の妹が座り、
そこにタケシも
加わり食卓を囲みました。