秘密な基地

帰るか、変えるか

二時間程
経ったでしょうか、
おそらく夜の十時を
まわっている頃、
タケシはうとうと
しかけていましたが、
ふと考え事をし、
ハッと目が覚めました。

「そうだ、まだ戻れないっ。」

次の瞬間、タケシは
秘密基地を飛び出しました。
タケシの考えていた事、
それは、過去に
タイムスリップしたという事は、
未来を変える事が
出来るのではないか…と。
だとすれば、
三十年後、父ノブオを
死なせずに済ませられる筈です。
何とか、
自分の存在を理解してもらい、
未来で起きる
悲劇を防ぐよう説得する為、
再びノブオの
元へと向かいました。
しかし、ラジオでは、
フェーン現象が続くのも
今夜までと言っていました。
今夜を逃せば、
いつフェーン現象が起き、
乾燥風が吹くか分かりません。
それを考えると、
何としても今夜、
あの洞穴の絨毯で
寝なければなりません。
もたもたしている
時間が無いタケシは、
走りながらも考えました。
そして、ある一言を
考え付きました。
その一言をノブオに言うだけで、
三十年後、父ノブオが
死なずに住む方法です。
そろそろ、
ノブオの家が
見えてくるだろうという
所までくると、
何やら、赤い光が
視界に入ってきました。