秘密な基地
ノブオだけ一人、
部屋を与えられ
ていたので、
そこで寝ていたのです。

「おじさんとおばさんは
 この子達を
 早く出してあげて下さいっ、
 ノブオ君は僕が
 起こしに行きますっ。
 大丈夫、いざとなったら、
 二階から飛び降りるからっ、
 そのくらい
 へっちゃらですよっ。」

ゴロウもカズコも
申し訳なさそうな顔をしました。

「絶対逃げるんだぞっ、
 タケシ君。」

タケシは、二人が階段を
降り始めるのを見届け、
真っ先にノブオの
部屋に向かいました。

「ノブオ君っ、
 起きろーっ、火事だぞーっ。」

タケシは、寝ている
ノブオの体をめいいっぱい
揺らしました。しかし、

「うーん、
 もうちょっと寝かせてよー。」

”三十年後の、父ノブオは
寝起きが良い筈なのに…”

そう思いつつ、
思い切りノブオの
ホッペを平手打ちしました。

「ひゃーっ。」

さすがに飛び起きました。

「ノブオ君っ、
何も言わずついて来てっ、
今この家火事なんだっ、
早くここを抜け出すんだ。」

「え、うそだろ、
 タケシ君、寝ぼけてんの?」

”それは君だっ”

そう思いつつ、
ノブオの手を取り部屋を出ました。
 階段に差し掛かり、
下を見ると、
すでに階段の中盤まで
火がまわっていました。
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