秘密な基地
過去から
 「タケシッ、起きてっ。」

目が覚めると、
そこには、母ユウコの
姿がありました。

「あっ、戻った。」

「何、寝ぼけてんの、
 心配したのよ、
 秘密基地がこの辺にあるって
 言う事は聞いてたけど、
 やっと探したんだから。」

タケシは、秘密基地に帰るなり、
倒れるように
あの絨毯で眠っていました。
起きると、無事
元の世界に戻っていました。

 家に帰る途中、
タケシは聞きました。

「母さん。父さんは
 生きてるよね。」

ユウコは、一呼吸置き、
答えました。

「ごめんねタケシ、
 母さんもそう思いたいけど、
 もう父さんは戻らないのよ…。」

タケシは下を向き、
返す言葉がありませんでした。
ノブオは僕の
言った事を信じてくれなかった
のだろうか、
それとも、あれは夢
だったのだろうか…?
そう思うと、
意気消沈してしまいました。

 家に戻ると、
祖父母のゴロウとカズコも
来ていました。

「良かったタケちゃん、
 無事だったのね。」

カズコが駆け寄りました。

「タケシ、ちょっといいか。」

ゴロウがタケシを手招きで、
奥の部屋へと呼び寄せました。

「元気を出すんだぞ、
 負けちゃ
 いかんよタケシ。
 実はな、父さんから
 何年も前から
 手紙を預かっとったんだよ。
 タケシが”小学六年の九月二十日”
 が過ぎたら渡すよう
 言われていたんだが、ノブオは、
 こんな事になるのを
 分かっていたのかのー、
 少しでもタケシの
 励みになれば良いがな。」

ゴロウは父さんの
手紙をタケシに受け渡しました。

 タケシは、早速二階に行き、
手紙を読みました。

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