【奏】たらればの時間
「ミサキ…ミサキ…」


名前を呼ばれる声に導かれて
目をそっと開いた


……カズ



やっぱりさっきのは夢だったのかな…



「良かった…すっげぇ焦った
大丈夫か?

どこも痛くないか?」



心配そうな…優しい表情を浮かべてるカズ



「……うん」



「ごめんな…もう本当しないから…

本当に…ごめんな…」



…わかってる



カズはこう言いながらも




また同じ事を繰り返すんだ…





だって、初めてじゃないもの



前にも見た光景に
心が冷めていくのがわかる




「許してくれるか?」



答えられないよ



…だって…また…同じ事…スルンデショ?



わかってるのに…



カズを拒めない



好きなのか…そうじゃないのか…

…わかんないよ…



いつもの私の悪い癖『優柔不断』



あの時もすっごい迷って、迷って…



いつまでも変わらない…変われない…私



まるでカズの浮気と同じ…



「なぁ…頼むよ…もうしないって…

俺が好きなのはミサキだけだから…」



いつもその言葉に絆されて、流されて…


許してきた…


…でも、それでいいの?



「――…考えさせて…」



ようやくそう一言呟いた




「何で…っ…今回は本気だから…」




そう、思い出した…



追えば逃げるカズは
逃げられると追いかける…




でも…私は逃げられると追いかけてしまう…




渋るカズを何とか納得して

1人考えるのは…



もう一度


あの夢の世界に行ってみたいって事…




違う未来を見てみたい…







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