時空戦争─我等世界ノ救世主!?─
「覚えてて、くれたんだ」
そんなアイツの態度に戸惑った俺は、変な所で言葉を切ってしまった。明らかに不自然だ。
夜統は後頭部をワシワシと掻きながら、「まぁな」と欠伸混じりに言う。
ボリュームのあるトップが微風に揺れた。
俺は取り敢えずカバンを下ろして、中から忌々しい紙を取り出す。
「あのさ。今日テスト返ってきて、壊滅的な数学をどうにかしたいんだけど」
「勉強教えろとは言われたが…早速かよ」
「善は急げって言うだろ?」
「逆に急がば回れってのも有るけどな」
ああ言えばこう言う…普段無口な割りには口喧嘩が強そうと言うか、いちいち文句ばかりうるさい奴だ。
でも、帰ろうとしない辺り、教えてくれる気になったと言うことだろうか?
「俺ァ人に借りを作るのは好かねェからな。追試合格するまでなら付き合ってやんよ」
「マジでΣ!? 助かるよ!」
やっぱりコイツ良い奴かも、なんて思いながら俺は、例のテストを差し出した。
それを見た夜統の眉間には皺が寄り、「オイ」と唸るような声を発した。
それはそうだ。
大問1の(1)、(2)しか正解しておらず、しかも点数はたったの5点なのだから。