時空戦争─我等世界ノ救世主!?─



「思ったんだけどさ」

「…へ?」


夜統が獣道の脇の太い木の根に腰掛けながら、唐突に呟いた。


「俺達、今肉体的に疲れて、休憩してんだよな?」

「…おう。足痛いし、怠いし………腹減ったし……。………で?」


コイツの言いたいことが判らない。

俺は答えながら、続きを促した。

夜統は続けた。


「考えてみろ。仮に俺等が死んで、此処が死後の世界だとする。当然俺等は死んだわけだから、肉体は現実の世界──つまり、俺等が生きていた世界にグロい感じで置き去りになって、精神──つまり魂だけがこっちに来るわけだ」

「……だから?」


さらに俺は首を傾げた。

夜統は眉を寄せて苛立ったように舌打ちし、再び話を続けた。


「判んねェか? もし俺等が魂だけで此処をうろうろしてんなら、何故肉体が疲労する? 精神だけで動いているはずの俺等が、何故空腹を訴える? それはつまり、俺等が生きていて、更に何らかの理由でどっか訳わかんねェ所にトリップしたって事だ」

「そんな漫画みたいな話が…」


俺はそう答えながらも、夜統の言っていることを否定することが出来ない。

むしろ、その通りではないかと頷いてしまった。






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