時空戦争─我等世界ノ救世主!?─



───どれくらい歩いただろう。

さっぱり緑は減らないし、ブレザーは置いてきてしまったから、ワイシャツから覗く腕が長い草で切れ、ひりひりと痛む。

先頭を歩いているのは俺だから、やはりあちこちが痛い。

腹も減った。

ああ、俺はこのまま死ぬのかな……


「幸村」

「ん〜?」


後ろからトントンと肩を叩かれたので振り向くと、顔の前に甘い匂いが漂った。

そこには、チョコチップクッキーを差し出して怠そうに立つ夜統が居た。


「ズボンのポッケに入ってた。腹減ったろ、食えよ」

「マジで!? 良いの!?」

「ああ」


俺は、あいつの手から甘い匂いのチョコチップクッキーを受け取ると、一口で口に放り込んだ。

甘い。

疲れた体に染み渡るような甘味に、俺は不覚にも涙を流しそうになった。


「あっ、食っちまったけど良かったのか!?」

「あぁ、別に気にしなや。屋上で二箱食ったし」

「……そっか」


それでも、夜統も腹が減っているには違いないはずだ。

意外と人情深い奴なんだな…。

俺達は再び前を目指した。






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