時空戦争─我等世界ノ救世主!?─
隣に座る夜統の眉も寄っている。
どうやら聡い彼でも判らないらしい。
「パラレルワールドって、聞いたことあるかしら?」
「ある…けど…」
確か、自分が生きている“世界”の他にも、幾つもの時空が存在して、それらも平行して同じように“世界”として存在してる…みたいな感じのヤツだろ?
だけど、それとこれとが何の関係を表すのだろう?
「貴方たちは、時空を越えてこの世界にやってきた。つまり、パラレルワールドへトリップしたのよ」
「………はぁ?」
この挑発的な声は夜統だ。
ちゃっかりチョコチップクッキーを摘んでいる。
「オイ女。お前漫画の見過ぎじゃねェのか? 時空を移動するには光速以上で動かなきゃなんねェんだぞ? たかが屋上から落ちたくらいで、そんな速さになるわけねェだろ」
「ちょ、口悪いってマジで。偉い人なんだよこの人、多分」
あぁ、ヒヤヒヤする。
こんな態度だから、成績良くても皆に敬遠されてたんだな。
「そっちの世界の私は、“音梨梓”として生きてる。今ここに居る私とは、同一性があるように見えるけど、全く違う人物なの」
アズサは夜統の質問攻めをスルーして言った。