時空戦争─我等世界ノ救世主!?─



夜統はそのままふかふかの真っ白なベッドに飛び込むと、「うわ、すげ」と小さく感嘆の声を漏らした。

柔らかいベッドは彼の体を深く沈め、低反発なのか、すぐに元の形に戻った。


「……随分冷静なんだね」


俺は思ったことを素直に口にした。

俺自身、実はかなり戸惑っていた。

訳のわからない世界に迷い込んだうえに、自分達が戦争を止めなければいけないだの、時空の鍵を持つ者だの。

知らないことばかりだし、信じられないことばかりだし、非現実的なことが一気に降り掛かってきて、俺の頭はパンクしそうだった。

無人島も楽園に変えられる適応力を持っている自信は有ったが、いざこう云った状況になってみると、自分はどうしようもなく無力だと知った。

夜統は苦笑した。


「それはねェな。俺も正直戸惑ってる。それに──…」


彼は言葉を切り、寝返りを打つように、ドアの前で情けなくつっ立ったままの俺の方を向いた。


「クリアネスの存在理由が気に入らねェ。隙を見つけて逃げてやろうかと思って」

「そんなこと、出来んの?」


俺は尋ねた。夜統は悪戯っぽく笑った。






< 36 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop