時空戦争─我等世界ノ救世主!?─
あぁ、と彼は肯定をし、勢いを付けて腹筋で起き上がった。
「時空を操る唯一の力を持つなら、適当にここから抜け出して、あの森に入って力を解放して、元の世界に戻れば良い話だろ。
大体クリアネスはどこの時空にも溶け込める。裏を返せば、俺等のどっちかが時空戦争とやらで死んだとしても、誰もその事実を記憶に刻まないって事だ。
そんな事のために、一生懸命になんかなれねェ。命懸けになんかなれねェ」
「夜統………」
饒舌になった夜統が、酷く苦しそうに見えた。
彼の言ってることの半分は理解できなかったが、クリアネスの存在は、かなり理不尽なものなのだろう。
時空戦争を止める力がある。
それが危険なことだから、誰の記憶にも刻まれない、彼らの力が必要なんだと。
要は、そういう事だ。
「そうと決まれば抜け出そう。こんな訳わかんないトコに、これ以上居れねーよ」
俺はドアノブに手を掛け、扉を開けようとそれを捻った。
ガチャ、ガチャ…
「嘘……!」
「何だ?」
俺は一気に青ざめた。
「ドアが開かない!」
閉じ込められた───…!!