時空戦争─我等世界ノ救世主!?─
すると、アズサはクルリと俺たちに背を向け、明るい口調で言った。
「ついてきて! パパに会わせるわ」
取り敢えず、其処に座っていても仕方ないので、彼女の背中に付いていくことにした。
彼女が歩くたびに、ふわりとした髪が背中で揺れる。
彼女は何者なのだろうか。
こんなに大きな家に住んでいるのだから、国の中でも大きな権力を持っているのだろう。
「ここがパパの部屋よ」
「……」
やはりこの家は普通じゃない。
俺は隣に立つ夜統を見た。
彼も必死で平静を装っているが、やはり部屋のドアを見て目を見張っている。
ドアノブは金色に輝き、一転の汚れもなく、更に扉には上質な木材が使われている。
ここに立っていても、微かに木の香りがする。
「パパ、私よ。クリアネスを連れてきたわ」
ノックをしてアズサが言う。何だか、変に緊張してしまった。
「…入りなさい」
扉の向こうから、太い声がした。