時空戦争─我等世界ノ救世主!?─
アズサの後ろから恐る恐る中に入ると、立派な髭を蓄えた中年の男が、質の良いソファーに腰掛け、何やら書物を読んでいた。
窓から差し込む明かりが彼の眼鏡を反射させ、なんとなく厳格なイメージを持たされた。
「紹介するわ。父のタカヒロよ」
「……君!」
アズサは父を紹介してくれて、彼が本から顔を上げてこちらを向いた。その時、一瞬目を見開いてから、タカヒロさんは突然夜統のシャツの襟を掴んだ。
夜統は反射的に舌打ちをし、その手を払い除けようとしたが、タカヒロさんは夜統の胸元を食い入るように見つめている。
「その首飾りは、君の物か!?」
「あァ?」
興奮した様子の彼に、夜統は睨みを利かせながら苛立ちを顕にする。
尚も「君のか?」と尋ねてくるタカヒロさんに、夜統は戸惑いがちに、「おじいの形見だよ」と答えた。
タカヒロさんは夜統の首飾りを眺めてから、言った。
「それは、時空の鍵だ…」
「は?」
夜統は首を傾げた。
もちろん、俺もすぐにその言葉を飲み込む事が出来なかった。