時空戦争─我等世界ノ救世主!?─
夜統は目を伏せると、俺の手に触れている彼の手に僅かに力を込めた。
すると、彼の胸元の首飾りが鈍く光り始めた。
「……?」
赤い光はだんだん強くなり始め、石の中に埋まった秒針のような針がくるくると激しく回りだした。
さらに、指先がムズ痒いような、暖かい感覚に包まれて、ふとそこに目をやって、俺は絶句した。
「………う、そ…」
傷が塞がっていく。
ぱっくりと口を開けていたはずの傷は、すっかり何もなかったかのように塞がってしまった。
いや、“無くなってしまった”と形容するのが正しいかもしれない。
完全に傷が無くなると、夜統は俺の手を解放してふぅと息を吐いた。
俺は驚きで激しく動揺しながらも尋ねた。
「な、なななな何今の!? な、治ったよね!?」
「治したわけじゃねーよ。“無かったこと”にしたんだ」
「無かったこと?」
平然と答えた夜統に、俺は更にハテナを飛ばす。
「お前の指先の時間を巻き戻すことで、その傷自体を“無かったこと”にしたんだよ」
「…タイムふ●しき的な?」
「そうそう」