時空戦争─我等世界ノ救世主!?─
夜統が俺に小さく笑いかけると、上空を舞う敵の羽がまるでビスケットか何かのように千々に散っていった。
「なっ!!」
「うわあぁあ!!」
それぞれ驚いたように思い思いの悲鳴を上げながら地面に落下した。中にはその衝撃で絶命したものも居るだろう。
「………っ!!」
目の前で人が傷付き、死んでいく光景に、今更ながら凍り付いた。敵ではあるが、先程まで不敵に笑っていた顔が苦悶に歪むのを見ると背筋がひゅうと寒くなる。
「くそッ……何なんだ、急に……」
状況を飲み込めなかったのか、レイゼアの一味は悪態を吐きながら引き返していく。どうやら窮地を凌いだらしい。潮が引くように敵が居なくなった。
ホッと息を吐いたのも束の間、不意に肩に重量を感じて振り向いた。
「…夜統!」
「………ん…」
ぐったりと力が抜け、小さく反応は返すものの、著しく夜統は衰弱していた。俺は焦りが先行したが、とりあえず誰か人を呼ぼうと叫ぶ。
怪我人を運んでいた医療班の女性が、夜統を担架に乗せていった。
俺はそれを見ていた。