草食系部下と私様上司
「あなたは、浮気した女と上手くいかなくなったから、別れた私が欲しくなった……。違う?
私が、どんな思いで此処まできたか分かる?
人を信じる事を止めたの。
裏切られるのが怖いから…。
誰も信じられなくなって、そのうち仕事に打ち込む様になった。
仕事は誰も裏切らないから。
でも、鶴見は違う。バカで仕事出来ないけど、心が温かいの。
誰にでも優しくて、笑顔がよく似合う、日だまりの様な人。だから、一緒にいて心から安らげる。
癒される。」


「上川さん…。」


ウルウルしてる俺に、優しく微笑んだ。

「もう…俺の入る隙は無いのか?」


「無い!!もう二度と私の前に現れないと約束して?」


「分かった……。
約束する……。」


そう言って、フラフラと歩き出した。


「遼!」


その言葉に、振り返った。


「幸せになって?
あなたは、自信に満ち溢れた姿が一番似合う。
そんな、あなたが好きだったの。」


「莉子も……。
鶴見君、莉子は性格キツイけど、可愛い女だから、幸せにしてやって?」


「はい。任せて下さい!」


前を向いて、堂々と歩いて行く姿が、俺には無い大人の男を見た。


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