恋の唄
約束の日。
花火大会が行われる川沿いは人でごった返していた。
普段は広く感じられる道も夜店が連なり、いつもより狭くなっている。
「結衣、はぐれんなよ」
時々私の様子を確かめてくれる華原君は、とても穏やかな雰囲気を醸し出していた。
「おっ! カキ氷食べようぜ」
「うん! …って、まだ入るの?」
たこ焼きに、やきそば。
綿菓子に水飴に……それからとうもろこし。
射的や輪投げを楽しみながらだけど、結構な量を食べ続けている気がする。
もちろん私はほとんど眺めているだけで、食べるかと聞かれても断っていた。
「普段動きまくってるからな」
そうなもんなのだろうかと疑問に思ったけど、カキ氷を食べるのは大賛成だった。
華原君はいちご、私はミルクを頼んでカキ氷を食べながら河川敷を歩く。