恋の唄


「私は……頷けない」

「何で。他の奴と見るから?」

「そうじゃないっ」


顔を上げて華原君を見る。
私の視界に映った彼は、悲しそうな表情を浮かべていた。

華原君の唇が動く。


「今の俺には……一花がいるから、だろ?」


頷くのをためらって、私は無言のまま動かなかった。

すると、華原君が深い息をひとつだけ吐く。


「ごめん。中途半端で」


花火の音が響いて、私たちを照らす。


「けど、俺はちゃんと進んでる。まだ中途半端なままだけど、一花と付き合ったままだけど……」


華原君の瞳が、私を真っ直ぐに捉えてて。


「それでも、来年もここで一緒に見る相手は結衣がいい」


願いが、私の心に苦しみをもたらす。



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