恋の唄
ああ……
やっぱり華原君は苦手だ。
絡み辛いというか、彼のこういったテンポが私には合わない。
でも、それならそれでいいのだと思っている。
隣りの席になった事は驚いたけど、だからといって仲良くしなければいけないわけでもない。
一年の時と同じ、クラスメイトとして過ごせばいいだけの──
「俺さ」
「……え?」
突然、華原君が再び声を発した。
視線は相変わらず携帯電話にあるままだけど、彼はその体勢のままで言った。
「結構その名前好きかも」
そして、チラッと横目で私を見て、僅かに口角を上げて笑む。
「次の席替えまでヨロシク、結衣」