恋の唄


溜め込むより、吐き出して欲しい。

そうすれば少しは一花さんが自分を傷つける回数を減らせるかもしれないから……なんて、私のエゴもいいところなんだけれど……

もしかして、そう思わせるのが一花さんなのかもしれないと、ふと思う。

華原君がそうだったように、放っておけない雰囲気をまとっている気がして。


そんな事を想いながら紙を差し出したままの態勢でいると、一花さんの指が、私の指に僅かに触れた。

紙がスルリと手を離れる。


「結衣ちゃんって、変な子だね」


そう言って見せた表情は、可愛らしいはにかむような笑みだった──‥






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