恋の唄
夕暮れ時──
部室で、ロッカーを前に隣りに立つ海が俺に向かって何か言ってる。
ちゃんと聞くつもりでいるってのに、何度も何度も海の声が遠くなって。
「おい、大丈夫か?」
集中したはずが、意識はすぐ別の場所に持っていかれる。
まるでそれは、心が他の事を受け付けたくないって言ってるみたいで……
「ユウ!」
突然の海のでかい声に、俺は身体を震わせた。
「え、あ、ああ……悪い。何だっけ」
「……明日、案内頼んでいいか?」
「ああ……いいけど。てか、古賀に頼めば?」
提案すると海は顔色も変えずに言う。
「さっき電話で聞いた」
「お前、いつの間にケー番交換したんだよ。で? 断られたから俺?」