恋の唄
五時限目。
教室内には物理の先生の声と黒板にチョークを走らせる音が響いていた。
黒板に書かれた白い文字をノートに書き写していく私の手。
黒板を見て、ノートを見る。
その動作を何度か続けているうちに、ふと気付いた。
さっきから華原君に動いている気配がない。
私はゆっくりと華原君に視線を向けて確認する。
と、彼に動きが全くない理由が良く分かった。
彼は……
「……すー……くー……」
寝ていたのだから。