恋の唄


バカだ、俺。
伝えたいのはそんな言葉じゃなかったのに。

ずっとずっと、お前に伝えたかった言葉は……


「結衣」


大きく息を吸い込んで、腕でグイッと涙を拭く。

あの日、伝えようとしていた想いを、願いを。


「俺と、付き合って」


お前に。


答えは当然返ってこない。
だけど、ちゃんと結衣には届くと信じて想いを紡いだ。


「好きだ、結衣」


想ってんだ、お前を。
だから……


「逝くなよ……」



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