恋の唄


柔らかい光が結衣を優しく包んでて。


「……結衣?」


ついに幻覚まで見えるようになっちまったんだと、働かない頭のどこかで思った。

だけどそれでもいい。

だってさ、結衣が俺を見て微笑んでんだ。


 『 華原君、私もね 』


真っ直ぐに俺を見つめて


 『 華原君のことが、大好きだよ 』


甘い響きに胸が、瞳が、熱くなる。


 『 想いは死なないの。だからもう、泣かないで 』


泣かないで。

結衣に言われて、どこか夢見心地だった俺の意識がハッキリする。




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