恋の唄


「華原! 天音!」


稲妻の如く耳に届いた怒声。
私は体をビクッと震わせ、閉じていた瞼を勢いよく開く。

それは彼、華原君も同じだったらしく、パチクリと瞼を何度か動かして驚いた様子で私たち二人の名前を呼んだ先生を見ていた。


「お前ら、俺の授業がそんなにつまらんか?」


怒りの声と眼差しに私は首を横に振った。


「いえ、そんな事は──」


と、否定しようとしたら華原君の声がかぶさる。


「どっちかってゆーと」

「ちょっ、華原君!!」


何て事を言うんだと焦って華原君を見ると、彼は何でもないような顔……いや、むしろ真顔で私を見た。


「嘘はいけねーだろ?」


ワナワナと額に怒マークを浮かばせた先生。

ブチッと先生の中で何かが切れたようで……


「二人とも廊下に立ってろ!!」


私は、華原君のせいで人生初の廊下行きを言い渡されたのだった。



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