恋の唄
授業中の人気のない廊下。
そこに、大きなあくびをする華原君と、その隣で大人しく立つ私。
ふと、華原君の顔が私に向いた。
「つーか、お前も寝たんだ?」
「……まぁ」
「プッ。ご愁傷様」
自分だってこうして立たされてるくせに、私を笑う華原君。
なんだかちょっと頭にきて、私は頬を膨らませて華原君を睨み付けた。
「華原君が先生に余計なこと言わなければここにはいなかったのに」
あの場面で謝る事が出来てたら、今頃普通に授業を受けれてたはずだ。
そう思えば思うほど、ムカムカがおさまらなくなる。
「何言ってんだよ。寝たのは結衣だろ」
俺だけのせいにするなと言わんばかりの呆れた表情を浮かべる華原君。
それは確かにそうだ。
けれど、眠るに至ったきっかけを思い出して私は声を華原君に放つ。