恋の唄
一つの教科書を二人で見る距離感。
一年の時、他の男子ともこんな状況があったはずなのに、華原君が相手だと何だかドキドキする。
そのせいで先生の言っている言葉もイマイチ耳に入ってこない。
ううん、入ってきているけど心が落ち着かないものだから吸収しきれてない状態だった。
教室の黒板の上にある時計を確認してみる。
だけど、針が示す時間を見てしまった事を少しだけ後悔。
こんな心境であと30分も過ごさないとならないなんて。
とにかくどうにか落ち着けないかと考えてると、華原君が手の上でクルクルと回していたペンを握った。
そのまま私の教科書に何かを書き始める。
頬杖をついて楽しそうに口元に笑みを浮かばせて。