恋の唄
「い、いないよ」
なんとか答えると、すかさず華原君は唇を動かした。
「じゃ、好きな奴は?」
質問攻め。
しかも答えにくい質問までされてしまった。
「えっと、それは……」
華原君だよって言いたい。
だけど……怖い。
伝えた未来に幸福が待ってるとは限らないでしょう?
ハッピーエンドばかりが恋の結末じゃないって事くらい知ってる。
叶わなかった結末を想像すると、怖くて、苦しくて……
私にはまだ、傷つく準備が出来てないと悟る。
『3・2・1……』
カウントダウンが聞こえてくる。
なのに、華原君は私から視線を反らそうとしない。
カシャッとシャッターが切られた音がして、私は答えた。