恋の唄
お昼休みの訪れを告げるチャイムが鳴る。
教室内は一気に騒がしくなり、隣りの席の華原君も椅子を引いて立ち上がった。
「結衣は今日も弁当か?」
お財布を手にした華原君が座ったままの私に話し掛ける。
「うん、今日は自分で作ってみたんだよ」
「へー! 料理出来んだな。今度俺のもヨロシク」
ニッと笑って私の返事を聞く前に教室を飛び出した華原君。
彼の姿が見えなくなると、私は鞄からお弁当箱を取り出した。
いつもお昼は伊織ちゃんと一緒。
だけど今日は伊織ちゃんが風邪でお休みだからどうしようかと悩んでいた。
クラスの友達に混ぜてもらう事も考えたんだけど……
人付き合いが得意じゃない私は、結局お弁当箱を持って屋上に向かった。