恋の唄
緩やかな風が彼の綺麗な髪を撫でて通り過ぎる。
ふいに、伊織ちゃんが好きな真柴君はとても綺麗な男の子だと思った。
「ユウの大切は今、変わろうとしてる」
「どういう事?」
真柴君はまだ視線を空に向けたまま言った。
「それは俺の口からは言えないな」
そして、そのまま静かな時間が流れて……
私は口にした。
「華原君に……彼女はいるんだね」
「……いるよ」
突きつけられた現実。
聞かなければ良かったなんて、自分で聞いたくせに勝手なのもいいとこだ。
どうして真柴君に聞いてしまったんだろう。
けれど知りたいと思ったんだ。