恋の唄
『ユウは今、必死にもがいてる。理由は俺からは話せないが、多分……一番苦しい時かもしれない』
一番苦しい時。
何をどうして苦しんでいるのかは私には分からない。
だけど、普段強気でいる華原君がこんな風に言葉にするのは、きっと……
本当に苦しんでいるから。
「私なら……」
正しいかどうかは知らない。
けれど、自分が思った事を正直に告げる。
「まずは明かりを探すよ」
「無かったら?」
「地面でも壁でも伝って歩く。時間はかかるかもしれないけど、絶対に出口を見つけたいもの」
そこに、華原君がいると分かって入れば尚更頑張る。
「時間はかかるかもしれないけど……か」
華原君は零して、フッと笑った。