恋の唄
視線が私に向く。
「結衣ってさ、弱そうに見えんのに結構強いのな」
「そう、かな?」
自分では弱虫だと思ってるんだけど、華原君に言われて嬉しくなった。
華原君が元気になるなら、どこまでも強くありたいと思える。
「ねぇ華原君」
「ん?」
「私じゃ頼りないかもしれないけど……」
夕暮れの赤が紺に覆い尽くされそうな空。
切なさを含んだ時間が、安らぎの時間に差し掛かるのを感じて……
そんな夜のような安らぎに、なりたいと思った。
「そばにいるよ。隣りにいるから」
華原君にとっての、安らぎの場所に。
私が。