恋の唄


晴れ渡る空の下、人のざわつきが混ざって耳に入ってくる。

応援に駆けつけた子だろうか。

数名の女の子が私の横を通り過ぎた時……


「天音?」


聞き覚えのある声が背後から聞こえた。

振り向くと、そこには真柴君の姿が。


「真柴君……どうして?」

「それはこっちのセリフ。今日はユウの試合は見れないぜ」


ニッと口角を上げてからかうような笑みを向けてくる。


「ち、違うよっ」


否定して見せると、真柴君はクツクツと笑った。


「ユウがからかう気持ち、わからないでもないな」


言って、私に何かを手渡した。

固くてひんやりとした感触。

目で確かめると、サイダーが。



< 97 / 204 >

この作品をシェア

pagetop