恋の唄
「飲め。おごりだ」
「え、でも……」
「俺の分はユウが今から持ってくる」
「華原君? 華原君も来てるの?」
彼の名前を呼びながら、無意識にその姿を探してしまう。
そんな私の姿にまたしても真柴君が小さく笑って、同時に……
視界に、切なさと愛しさをもたらしてくれる人の姿が飛び込んできた。
沢山の人の中から、少しのブレもなく見つけられる。
自分がどれだけ彼を好きになっているか、自覚する瞬間。
華原君が私に気付いて一瞬瞳を丸くした。
「結衣?」
私の名を呼んで近寄る。
彼の手には缶ジュースが2つ乗っていた。
「お前、何でココにいんだよ」
キョトンとする華原君から真柴君はひとつ、ジュースを取る。