とりまー紀文

⑳パポッ パポッ「カノンちゃん」 ミニチュア・ダックスフント

 6ヶ月もたたない子のホテルは、原則としてお断りしている。
人間の子供でもそうだが、とにかく目がはなせない。
しかし、うちでは伝染病予防ワクチンも済み、短期のお預かりという事を前提に、状態をきいて預かる事もある。
 先日の事だった。
4ヶ月のダックスを預かってほしいと電話があった。
いつもは、お母さんが世話をしていたのだが入院、いきなり、お父さんに世話がまわってきた。
…お父さんの切羽詰まった声…日帰りだったので引き受けた。
 4ヶ月といえば、お腹もパンパンの赤ちゃん腹、とってもかわいい盛りである。
しかし、このかわいい顔が、段々、悪魔にみえてくる。
 まだ、乳歯、その辺のものは、かじりまくる。
オシッコも頻繁。
気がつくと…スペースは十分あるのに、何故かウ○チにまみれて、うれしそうに、しっぽをふりふり、こっちをみている。
気がつくと…おもちゃが血まみれ。慌ててみると、乳歯がぬけたせいだった。
ようやく寝たかと思ったら、すぐ、「パポッ パポッ パポッ」おもちゃの音が部屋中に鳴り響く。
一人で遊びまくっているのだ。
すると今度は、ウーウー言いながら、すごい勢いでサークルの中を走り回っている。
 小さい頃にホテルに預けておくと、あとあと楽になるそうだ。
大人になったカノンちゃんに期待しつつ、トイレ掃除に励む私であった。
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