とりまー紀文
24.ビビる「タローちゃん」 ミニチュア・ダックスフンド
 臆病というかビビリ犬。ガタガタふるえ、オシッコをちびっちゃう。
なかなか馴れてくれず、かなり辛そうだ。
そして、何よりタローちゃんの大嫌いな事は、爪切りだった。
以前の勤め先にきていたタローちゃんは、一人がしっかり保定、一人が爪切りをしていた。
が、タローちゃんは全身で嫌がり、オシッコをちびっていた。
 お店をオープンした頃、よく店先に見た事があるようなスムースダックスとお父さんが目に入った。
と、ある日、トリミングの予約を入れに来てくれた。…タローちゃんだった。
正直、爪切りをどうしようかと悩んでしまった。タローちゃんは、腰を悪くする事も多かった。私一人で、腰に負担をかけないように、また、恐い思いをさせないようにするには、どうしたものか……。
 トリミング当日、玄関でタローちゃんは、すでにビビリしょんをしていた。
お預かりして、いよいよ爪切り。いろいろな必殺技もタローちゃんには効かず、仕方なく仰向け、腰も腕で固定、目隠し。オシッコはちびってなかったが、ヒィ〜ヒィ〜言っていた。
あれから一年、玄関前で必死に抵抗しながら引きずられてくるタローちゃん。
うちの店の前もタローちゃんの散歩コースなのだが、急にペースアップ、足早にかけていくタローちゃん。
はたして、いつか喜んで来てくれる日がくるのだろうか。
< 24 / 26 >

この作品をシェア

pagetop