とりまー紀文
⑦きつつき「ヒデちゃん」 ウエルシュ・コーギー・ペンブローク
 あれは7年前、まだ私がトリミング学校2年生の時、研修先での事…。
 ウエルシュ・コーギー・ペンブロークのヒデちゃん、♂4歳、顔はでかいが身体はちっちゃめ、茶白でお目めがつっている。
「噛むから口輪してからやって」先輩の指示通り口輪装着、つけるのは簡単だった。
しかし、さすがコーギー、馬力がある。爪切りも嫌がるヒデちゃんをしっかりともち、後ろ指すみ前指へ。胴長短足のコーギー、口輪もしているし抱え込んで後ろ向きでやるよりはやりやすいかと、前側正面からかがんでやる事にした。
ここは出血させて痛い思いはさせたくない。前指をもち神経の位置を確認、集中して爪切りをはじめた途端、私のおでこにすごい衝撃が…!
「へっ?」と思い見上げると、口輪をしたヒデちゃんがものすごい目で睨んでいる。
「ん?」わからなかった。再び前指をもつと今度はコーン、コーンと2度3度、おでこに何かあたる。
そう、ヒデちゃんは口輪をしたままの口で私のおでこめがけて頭突きならぬ口突きで必死に抵抗していたのだった。
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