Chain〜切れない鎖〜
「一馬!聞いちゃ駄目!」

力の限り叫んだが、直後に背中を激痛が襲う。
痛みと吐き気が込み上げ、あたしは咳き込んだ。

「うるせぇんだよ、芽衣チャン」

続いて聞こえる、ぞっとするほど嫌いな奴の声。
あたしを盾にしているから、一馬に対してもあり得ないくらい強気だ。

「桜井。お前がボコられたら、芽衣チャンは助けてやる」

そんな卑怯な取引に、一馬は何の迷いもなく答えた。

「好きにしろ」

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